User Report - 竹やぶ
そばを追求していくと、水にぶつかる。そばを打つのも、つゆをつくるのも、すべて水が基本ですから」こう語るのは、「六本木竹やぶ」の主人、阿部孝雄さん。「竹やぶ」といえば、千葉県柏市に本拠を置くそばの名店であり、自家製粉による手打ちそばをいち早く始めた店として知られています。
その阿部さんが平成15年4月、東京の新名所、六本木ヒルズに新店を開くにあたって頭を悩ませていたのは水のこと。先の言葉にあるように、おいしい水なくしては、いいそばはつくれないためです。
「柏の店は昭和51年に手賀沼を見下ろす丘の上へと移転して以来、ずっと 井戸水を使っています。ここは利根川水系にあたり、非常に水がおいしいん ですね。もちろん、東京ではそういうわけにはいかず、恵比寿にあった店では
浄水器を通した水道水を使っていましたけれど、その店以上にそばを向上さ せるには水を変えるしかないと思ったんです」 そこで、阿部さんが目を向けたのが「スイークレイ」でした。毎日、大量の水を
使うそば店にとって、宅配というシステムは都合がよく、しかも、その水はホタ ルの里としても有名な群馬県榛名山麓の天然の湧水。阿部さんはその味を 確認するや、翌日には採水地まで足を運び、ボトル詰めする工場まで見学し
ているのです。
「やわらかくてまろやか、というのがこの水の印象。ただ、どんな場所で採取されているのか、やはり自分の目で確認しないことには納得できません。現地に行くと水汲み場があって、地元の人や遠方から車でやってきた人が、ペットボトルに汲んだ水を両手に抱えたり、一輪車にのせたりして、みんな、ニコニコと嬉しそうに持って帰っているんですよ。そんな表情を見て、この水なら間違いないと思いました」さらにもう一つ、担当者の真摯な姿勢も決め手だったといいます。「最初に説明を聞いた時に、『気に入ったら使ってください』と決して押し付けようとはしなかった。この人、この会社となら、信頼関係を築けるって直感したんですよ」
そばを打つのにはもちろん、つゆのだしを引く時や別に仕立てるそば湯にもこの水が活用されています。さらに、「箱島の水」として品書きにも名を連ね、江戸切り子や手ふきのグラスに注いで出されているのです。
「そばの価値を高めるには、いい素材を見つけることが大切です。水も重要な素材の 一つ。決して安くはありませんが、“おいしい風”でなく、本当においしいと言えるそばを
作るためには欠かせないものなんです。実際、恵比寿店の常連だったお客さんからは、『 つゆの味が格段に良くなった』ってよく言われるんですよ」 そう言って、嬉しそうに目を
細める阿部さんの表情が印象的でした。
料理写真 伊藤 千晴
竹やぶ
六本木ヒルズ店 東京都港区六本木6-12-2 六本木ヒルズレジデンスB
営業時間 AM11:30~PM3:00
PM6:00~PM9:00 コースのみ(要予約)PM9:00~PM10:00
竹やぶホームページ URL:http://www.takeyabu.co.jp/